同じアウトソーシングといえば、国内以外で海外の企業へアウトソーシングするという選択肢もあります。ここではそのメリットとデメリットを簡単に解説します。
海外アウトソーシングのメリット
現在様々な仕事(業務)が我々を取り巻いていますが、そのなかでもCADのトレース及びモデリングに関しては比較的海外へアウトソーシングしやすい分野だと言えます。というのはCADは「ある程度の専門用語」はあるにせよ、基本的にはCADで表されるフォーマットや数字は世界共通だからです。
現在多い事例としては、実際に製品を加工する際は加工費用の安い中国等の海外の工場で行われるため、「CAD図面は国内で書いて、それを機械加工するためのCAMデータは実際に加工する海外の工場で行う」という企業もたくさんあります。
※CAM(キャム)データとは簡単に言うと、CADで描かれたデータを加工する機械が、実際に機械で加工するためのデータのことを言います。なので、CAD→CAMへの変換は実際に加工する工場で行うことが多いと思います。
ということは、CAD図面の作成自体も海外企業へアウトソーシングしたほうが早いのでは?と思って当然です。
まずは、海外企業へCAD図面の作成をアウトソーシングするメリットを簡単に整理します。
- コストパフォーマンスが優れている。
- 時差や日本の休日を逆に利用可能。
メリットは圧倒的にこの2つです。
特にコストパフォーマンスが優れていると思います。日本ではCAD技術者の需要が高く、そのため労務費が高騰しています。それと比べると日本と同じ内容の作図をオーダーした場合には、約2/3〜1/2にコストを抑えられる場合があります。
次に時差や日本の休日を逆に利用可能という意味ですが、これはどういうことかというと、例えばCAD図面の作成を行っているとき、夕方の17時30分に急に客先から至急の変更が入ってしまった時を考えるとイメージがしやすいと思います。
社内のオペレータはすでにもう退社してしまった場合、社内では対応が不可能になります。しかし、時差が2時間あるアジア諸国であれば、現地時間はまだ15時30分です。
そうです。まだまだ全然余裕で対応可能な時間なのです。
また、休日を利用可能という意味は、例えば日本にはGWや夏休み、正月休みなど世界的にも休日が多い国だと思います。当然この期間中はスケジュール通りに作業が進まないことが多いと思います。
ところが例えば中国や韓国では日本に比べて休日が少なく、そもそも休日が被らないので、日本が休日で稼働出来ないときでも、作業が可能です。また、お正月も通常は1月2日から通常通り業務をしているので、そのあたりを上手く組み合わせると、とてもコストパフォーマンスが優れていると言えるでしょう。
ここまで書くと海外へのアウトソーシングはメリットしか無いように思えますが、デメリットもあります。
次は海外アウトソーシングのデメリットを簡単に解説します。
海外アウトソーシングのデメリット
海外企業へCAD図面の作成に関するデメリットは端的に言うとこちらです。
- 言葉とニュアンスの壁
- 送金と送金手数料
私の経験から言うと、大きくこの2つがデメリットだと思います。一つ一つわかりやすく解説していきます。
言葉とニュアンスの壁について
例えば一般的に海外企業とやり取りする手段では、メールやSKYPEなどの連絡方法があります。
使う言語としては英語か日本語になると思います。ある程度の基本的なこと、つまり基本的なオーダーはこれらの言語でカバー出来るのですが、細かなニュアンスが文字だけだと非常に難しくなります。
例えば、
「この部分の角度を変えずに横に5mm広げて、内側に適度なRをつけてこのへんまで伸ばしてください」というようなニュアンスを伝えるとき、実はとても大変です。
もちろん相手方のオペレータも私達の「日本語のニュアンス」を最大限にわかろうとしてくれているのですが、日本人特有の微妙な表現がストレートに通じないことが多いのです。
するとどうなるかというと、
- ①とりあえず彼らの認識で仕上げてくる
- ②質問を投げかけてくる
このようになると思います。①の場合、かれらは彼らの認識で「ああ、こういうことか。」と認識し、それをモデリングしてくるのですが、それがこちらのリクエストのニュアンスと違った場合は、このやり取りが数往復することになります。
②の場合、「あなたのリクエストのこの意味がわかりません」とか「ここはこういう意味でしょうか?」と質問が来るのですが、この質問が的を射てると作業は早いのですが、質問自体が的を射ていない場合は、こちら側も「質問そのものの意味がわからない」という迷宮に入り込みます。
現地の企業に日本人のブリッジマネージャーのような、作業内容を理解して日本語が話せる人がいると話は早いのですが、実際は細かなニュアンスなどは厳しいときがありますね。
送金と送金手数料について
作業後には当然相手方の会社から請求書が来ますが支払い方法は大きく以下の2つです。
- Paypalでの支払い
- 銀行振込での支払い
まず、Paypalでの支払いは意外と海外ではポピュラーな手法の一つですが、日本ではまだアカウントを持っていない人も多く、まだまだハードルが高いと言えます。
そうすると支払い方法は銀行振込の一択になると思います。
しかしここで注意が必要です。同じ日本国内に送金するとの違って、海外へ送金するには送金手数用が必要になります。送金手数料は金融機関によってもまちまちですが、銀行の海外送金手数料は一件あたり数千円かかることが多いです。そうすると一見発注金額が安く抑えられたとしても、あれ?ということになる可能性もあります。※銀行系でないサービスの場合手数料を安く抑えられますが、こちらも事前にアカウント登録が必要です。
さて、CADの海外アウトソーシングに関してメリットとデメリットを簡単にご説明いたしましたが、結論としてクオリティ的に信頼のできる海外の企業を見つけたら、少しずつコミュニケーションを取りながら発注を継続していけば「海外アウトソーシングの壁」はなくなってくると思います。
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この記事を書いた人
MAKERS DESIGN株式会社
代表取締役 橋本荘一朗
MAKERS DESIGNは代表自信の経験から、CAD図面作成コストを効率的見直し、従来の一般的な価格の50%の価格で提供している会社です。
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